暑い日が続いております。皆さまいかがお過ごしでしょうか。本日は、インプラントとメインテナンスというテーマでお話しさせていただきます。
天然歯には骨との間に歯根膜という組織があり、その膜から血液供給がなされていますがインプラントと骨の間には歯根膜は存在しません。
そのため、インプラントは天然歯よりも抵抗力が弱く、細菌に感染しやすいのです。インプラント治療の失敗は複数の原因が絡みあいおこると言われています。そのなかでも重要なのが菌の感染と噛み合わせです。特に、歯周病に罹患している患者さんにインプラントを行う場合,感染の危険性がありインプラント治療に先行して残存歯(ご自身の歯)に対する歯周治療が必須となります。また、この感染はインプラント治療のすべての段階で起こりうる可能性があります。
具体的には、インプラント埋入時の感染、インプラント埋入後隣在歯(隣の歯)からの感染やインプラント周囲へのプラーク(汚れ)付着による感染などによりインプラント周囲の骨の破壊を伴う炎症がおこりインプラント周囲の歯茎の赤みや腫れ、出血、歯茎の退縮などがみられます。
そのため歯周病は、インプラント周囲炎のリスクファクターの一つと考えられインプラント治療前に健康な歯周組織を確立しておくことが重要となります。
また、 残存歯の適正な噛み合わせ関係の維持を図り、必要な場合には噛み合わせの調整などによって、残存歯やインプラントへの噛み合わせの過重負担を回避する必要があります。
インプラント周囲炎の早期診断と治療を行うためには、インプラント周囲組織の定期的なチェックが非常に重要になります。当医院では、メインテナンス時に歯周組織検査やエックス線検査を行いインプラント周囲の状態を継続的に確認していきます。基本的には4ヶ月に1回のメインテナンスですが、患者さんの生活習慣や全身状態(糖尿病、喫煙)により短めのメインテナンスを行う患者さんもいらっしゃいます。メインテナンスを行うことでインプラント周囲の変化に柔軟に対応することができ、早期治療が可能となります。
このように、お口の中の衛生状態とインプラント周囲の骨の吸収には密接な関連性があり、日々のブラッシングについてもメインテナンス時に繰り返し確認しております。